ポリリン酸

 ポリリン酸はATP と同様の高エネルギーリン酸結合からなる物質です。実際、ポリリン酸キナーゼ(PPK)の逆反応により、ADP→ATPが作り出せます。その鎖長は様々で、生体内では数十から、長いもので千(1000)個のリン酸が結合したポリマーとなることが知られています。最近、ポリリン酸(酵素合成されたポリリン酸)の生理的役割の解明が進み、予想を超えた機能があることが分かってきています。
 
1、酵素に結合し、活性化:大腸菌のポリリン酸(約700個のリン酸)はLonプロテアーゼに結合し、一部のリボソームタンパク質を分解する。Science, 293, 705-708 (2001).
2、血液凝固:血小板に含まれるポリリン酸が放出されと、血液中のFactor XIIプロテアーゼを活性化して、最終的に凝固反応へと導く。Cell, 139, 1143 (2009).
3、腸管バリア機能強化:乳酸菌由来ポリリン酸がIntegrin-p38 MAP kinase pathwayを通して腸管バリア機能を高める。PLoS ONE, e23278, (2011)

弊社ポリリン酸を使った研究
4、抗TCR抗体とポリリン酸(C-700)でT 細胞が活性することを突き止められた(特許6621171)。
5、ポリリン酸がアミロイド繊維形成を促進(J. Biol. Chem. 296, 100510, 2021)
6、ポリリン酸がLPSによるマクロファージ活性化を増強する(J. Biol. Chem. 295, 4014–4023, 2020)
7、AMPからATPを合成するPPK2クラスIII酵素(Appl. Environ. Microbiol., 80, 2602e2608, 2014, J Biosci Bioeng, 125, 644e648, 2018)
8、ポリリン酸が大腸の粘膜治癒を促進する(Clin Pharm Ther 107, 452, 2020)

バイオエネックスのポリリン酸 (2021年3月15日改定)

バイオエネックスでは現在以下のポリリン酸を供給しています。
 

ポリリン酸E-700(酵素合成)

当社ポリリン酸キナーゼ(PPK)を使って、約700-800個のリン酸がつながったポリリン酸を作成しました。

PPKの反応:ATP + polyPn →ADP + polyPn+1    nはリン酸の数
ポリリン酸キナーゼはプロセッシブな酵素なため、途中の短いものは観察されません。

製品名:ポリリン酸E-700
コード番号:BXP-E-700 (100μg) 15,000円

取説ダウンロード:酵素合成ポリリン酸2021-4.pdf

ポリリン酸C-700(化学合成)

 当社独自の特殊な合成法により、従来難しかったポリリン酸(平均鎖長700-800)を化学合成することができました。電気泳動の解析では酵素合成品とほぼ変わりませんが、若干分子量の短いものも含まれます(以下取説に詳しく記載↓)。しかし、ATPを使わずに合成できるため、単位重量あたりのコストは酵素合成よりも3桁下げることができました。本合成品はポリリン酸分解酵素でリン酸にまで分解でき、またポリリン酸合成酵素でATPに変換できるため、直鎖状です。生理活性は酵素合成品と同等と考えられます。

製品名:ポリリン酸C-700
コード番号:BXP-C-700 (100mg) 18,000円

取説ダウンロード:化学合成ポリリン酸700(2021−4).pdf
大量に合成することも可能ですので、お問い合わせください。

ポリリン酸C-60(化学合成)

 また、従来より60-70程度のポリリン酸も販売しております。本製品は乾燥品です。

製品名:ポリリン酸C-60
コード番号:BXP-C-60 (200mg) 12,000円

取説ダウンロード:化学合成ポリリン酸60(2021−4).pdf

ポリリン酸C-10(化学合成)

 また、従来より10-15程度のポリリン酸も販売しております。本製品は乾燥品です。

製品名:ポリリン酸C-10
コード番号:BXP-C-10 (1 g) 15,000円

取説ダウンロード:化学合成ポリリン酸10(2021-4).pdf

ルシフェラーゼFM & FMプラス & エンドトキシン


人工進化技術で作り出した変異型ルシフェラーゼは、野生型の15倍の発光を示します。ATPの超高感度検出、バクテリアの検出、エンドトキシンの検出などに応用可能。

PPK & PtxD


ポリリン酸キナーゼ(PPK)は、ポリリン酸から生命エネルギーであるATPを再生。亜リン酸デヒドロゲナーゼ(PtxD)は、亜リン酸から生命の還元剤であるNADHを再生。

CWB-GFP

CWB-GFPは、細菌細胞壁のペプチドグリカンに得意的に結合する様にした蛍光タンパク質。試料中の微生物の混入が蛍光顕微鏡を用いることによって判定可能。

ルシフェラーゼBC

細菌由来の発光酵素は、ホタルと違い、NADHを使って発光。NADHの高感度検出を様々な生化学検査に応用可能。

ポリリン酸

様々な生理活性が分かってきたポリリン酸。化学合成が可能になりました。