理念、目標

当社では、

1. バイオエネルギーを光変換する酵素(発光酵素)を利用した様々な検出技術を作り出し、医療・衛生・食品分野の安全・安心に貢献すること、

2. 様々な生理活性のあるリン化合物を作り出すこと。また、リン化合物からバイオエネルギーを作り出す技術を確立し、様々なバイオ変換に応用して化学物質の高度合成に貢献すること

を理念、目標としております。

具体的な製品の内容

 生化学検査など様々な検査の手段として、物質特有の光の吸収や蛍光、そして発光などが用いられています。検査の感度は吸収<蛍光<発光の順に高感度になり、特に発光はシグナル・ノイズ比が非常に高いため、昨今の光検出技術の進歩とともに最先端バイオ検出技術に使われる様になってきています。例えば、次世代DNA配列解読装置にルシフェラーゼが用いられるなど、今後もバイオ発光技術が世界レベルの開発競争には欠かせないと考えられます。

 バイオエネックス㈱では様々なバイオアッセイの「光」化を進めています。例えば、ホタルルシフェラーゼの遺伝子を改良して作り出した世界最高の発光輝度のルシフェラーゼ(ルシフェラーゼFM) は①バイオイメージングへの応用が考えられる他、②生命エネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を数アットモル(10の-18乗mol)レベルで検出できるので細菌の高感度検出へ応用できる、③ルシフェリンの高感度検出にも利用できるので、様々なルシフェリン派生体を基質にした酵素活性の高感度検出ができます。

 我々の一つの目標は、開発した高発光のルシフェラーゼを利用して、様々なバイオアッセイの「光」化を進め、世界最高感度のバイオアッセイを確立していきます。

 さて、上記のホタルルシフェラーゼは生命エネルギーであるATPを使って発光してることが知られています。一方バクテリア由来のルシフェラーゼは還元力であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を利用して発光します。細胞内ではこれらの物質を供給する反応が備わっており、発光し続けることが可能です。また、その他の多くのバイオ反応系にとってもバイオエネルギーは必要です。バイオエネルギーを供給することで、連続的に発光を続けることが可能になったり、その他の有用反応を連続的に行わせることが可能になります。

 我々は、リン酸が重合した「ポリリン酸」からATPを、また還元型の「亜リン酸」からはNADHを再生するバイオエネルギー再生系を確立しました。非常に単純なリン化合物から自由にATPとNADHを作り出すことができます。これらを使って、様々なバイオ反応系と共役させて複雑な化学物質の合成に応用していくお手伝いをしたいと考えております。

 ポリリン酸はATP と同様の高エネルギーリン酸結合からなる物質です。最近、生体内ポリリン酸の生理的役割の解明が進み、予想を超えた機能があることが分かってきています。従来化学合成では60-70程度(分子内リン酸の数、鎖長)のポリリン酸が限界でしたが、当社独自の特殊な合成法により、700-800程度のポリリン酸を化学合成することができました。驚異の生理活性をもつポリリン酸を供給したいと考えております。